臨床開発関連用語
■有害事象(Adverse Event:AE)
医薬品を投与された被験者に生じたあらゆる好ましくない兆候、症状、病気のこと。 投与された医薬品との因果関係の有無は問わない。なお、有害事象のうち薬物との因果関係があるもの、 因果関係が否定できないものを薬物有害反応(Adverse Drug Reaction: ADR)もしくは副作用と言う。
■治験責任医師
治験の実施の際に実施医療機関での責任を有する医師又は歯科医師のこと。
■症例報告書(Case Report Form: CRF)
治験に参加した被験者の試験データ(診察・治療記録、検査記録など)を記載したもの。
症例報告書は治験依頼者(メーカー)に提出され、データ解析に用いられる。
電子で記録されるものをEDC(Electrical Data Capturing)という。
■標準業務手順書(SOP)
医療機関においては治験の依頼などの手続きの方法。 治験依頼者においてはモニタリングや品質管理、データマネジメントなど各業務を遂行するための手順を記述した文書。
■治験実施計画書 (プロトコール)
当該治験の目的、デザイン、方法、解析方法などを記述した文書。
■治験薬概要書 (IB)
治験薬の非臨床試験及び臨床試験の成績をまとめたもの。
■品質管理 (QC)
治験の実施、データの作成、文書化(記録化)、報告などが、薬事法やGCPなどのガイドラインを遵守しているかをチェックする業務。
■治験依頼者
治験の発案、実施、資金等に責任を負う個人、会社、機関又は団体。一般的には製薬メーカー。医師である場合も。
■MRI
核磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging, MRI)。核磁気共鳴 (Nuclear Magnetic Resonance, NMR) 現象を利用して、生体内の内部の情報を画像化する方法。X線CTとは異なり、放射線被爆がない。
■モニタリング
治験依頼者(製薬メーカーなど)により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、 治験が治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)、薬事法、GCPに従って実施、記録及び報告されていることを保証する活動。
■SDV(Sourse Data Verification、またはSourse Document Verification)
治験データの信頼性を検証するためにカルテなどの原資料と症例報告書の内容を照合・検証すること。
■GCP(Good Clinical Practice)
医薬品などの臨床試験の実施の基準。日米EU三極(ICH)で合意したガイドライン「ICH - GCP」を基に、 国内用に若干修正・翻訳した答申GCP(中央薬事審議会答申GCP, 1997年)と、答申GCPを省令として規定した省令GCP, 1997年)がある。
■Phase1〜Phase4
医薬品開発のステップは、その進行に合わせて4つの開発の相(Phase1〜4)に分類される。
| Phase1: | 主に臨床薬理試験。一般的には少数例の健常人(成人男子)が被験者となる。 |
|---|---|
| Phase2: | 主に探索的試験。 有効性を探索的に評価し、用量反応関係を明らかにする目的で行われる。前期と後期に分けられることがある。 |
| Phase3: | 主に検証的試験。Phase2で得られた予備的検討を基に、効果および安全性の検証を目的として行われる。二重盲検試験と長期試験と実施される場合もある。 |
| Phase4: | 製造販売後調査など。 |
■CRO (Contract Research Organization)
開発業務受託機関。治験依頼者(製薬メーカー)から治験に関わる業務(モニタリング、品質管理、メディカルライティングなど)を受託する組織・団体。
■SMO (Site Management Organization)
治験施設支援機関。実施施設(病院など)の治験業務を支援する組織・団体。 治験実施体制の整備やCRC(治験コーディネーター)派遣などを行う。
PET関連用語
PET:Positron Emission Tomography (陽電子放出断層撮影)
PETは、陽電子を放出する放射性同位体を含む薬剤を投与し、その体内分布を画像化して診断を行う技術であり、 臓器の生理的・生化学的機能情報を得られる。細胞の活動状態を画像で見ることができる。(PETの基礎 参照)
放射性同位元素(放射性核種)
原子番号が同じで、質量数が異なるものを同位元素(同位体、アイソトープ)という。 同位元素は安定なものと不安定なものがあり、不安定な核種は放射線を出して安定した元素になろうとする。 この放射線を出す核種のことを放射性同位元素(放射性核種)という。
FDG:18F-FDG(フルデオキシグルコース)
グルコースの2位の水酸基を陽電子放出核種であるフッ素18で置換した誘導体。FDGは、 グルコースと同様にグルコーストランスポーターを介して細胞内に取り込まれ、リン酸化を受けるが、 グルコースと異なりその後の代謝を受けないことから、リン酸化体として細胞内に滞留する。
18F
電子放出核種であるフッ素(放射性同位元素)。半減期が約110分。自然界では通常19Fの状態で存在する。
11C
電子放出核種である炭素(放射性同位元素)。半減期が約20分。自然界では通常12Cの状態で存在する。
PETトレーサー
トレーサー(tracer)とは、ある元素の動きを調べるためにマーク(印)をつけられたものの事。 元素の動きを調べるのに、原子や分子にマークをつけるために考え出されたのが、放射性同位元素を用いたトレーサーである。 PETトレーサーとは、PETにて用いられるガンマ線を放出する放射性同位元素のことである。FDGは、これに含まれる。
分子イメージング
生物が生きた状態のままで、外部から生体内の遺伝子やタンパク質などの様々な分子の挙動を観察する技術のこと。 PET、光学イメージング(Optical Imaging)等がこれに当たる。
ノーマライゼーション(感度補正)
検出器の感度は製品ごとのばらつきや、使用環境、電気回路の調整状態の影響を受けるため、検出器間の感度補正を行う必要がある。 68Geや137Csなどの校正用密封線源を用いて行う。
キャリブレーション(相互校正)
PET装置は多数の検出器が密接した状態で装着されており、温度や経時的変化等で出力ゲインが変化しやすい。そのため、定期的に校正する必要がある。 クロスキャリブレーションとは、PET装置とウェルカウンター(Bq数をはかるもの)の校正であり、定量性を保証する目的で行われる。 PET画像のカウントを放射濃度(Bq/ml又はCPS/ml)に変換し、薬剤分布量を定量化するためには、必須である。
ファントム
擬似物体のことで、放射線・超音波などによる医療画像の撮影に人体の代わりに用いられる。クロスキャリブレーションの際用いられる。
サイクロトロン
11C,13N,15O,18Fを製造する装置。これらの核種は半減期が非常に短いので、臨床で使用するには小型サイクロトロンを使用現場に設置する必要がある。
吸収補正
人体に投与された放射性薬剤は、生化学的な取り込み機序に従って体内の組織へ分布する。 このときに体内の深いところから放出された放射線は人体内部で吸収を受ける確率が高く、体外から検出しにくくなる。 逆に体表面近くに分布した薬剤からの放射線はあまり吸収を受けないために検出しやすい。 この、体内でのγ線吸収の不均一性を補正するための処理のこと。
マイクロドーズ臨床試験
被験物質を、薬理作用を示す投与量計算値(予想薬効量)の1/100未満かつ100μg/human以下の用量で単回投与する臨床試験。 通常の薬理効果が現れる用量よりもはるかに少ない用量で体内動態を調べることを主な目的とする。
GMP:Good Manufacturing Practice
医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準。医薬品の製造工程の各段階で品質管理を確保し、 各種の汚染を防いで良質な医薬品を製造するために、医薬品の製造業者が遵守するべき規則(省令)。
GLP:Good Laboratory Practice
医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準。非臨床試験の動物における安全性試験データの質の信頼性を確保するため、 動物実験などの作業の標準化、記録、監査体制、機械、施設などを規定したもの。

